剣道審査会寸評

◆剣道八段審査会(2012,11,29)宮川先生寸評

難関を突破できなかった方々に共通している点は、一本一本のの技が「有効打突の条件」に合致していなかった。

1.「充実した気勢」が見受けられない。構えた姿勢に相手を覆い尽くすほどの気の勢いが感じられず、そのため風格にも乏しく、所謂棒立ちの姿から、動じてもいない相手に技を出していた。

2.「刃筋正しく打つ」とは、文字通り打つ、突く、という動作であり”当てる”のではない。相手の構えを真っ二つに打ち破り抜けるという姿がほしい。

3.「懸待一致」を考えた剣道を心がけること。打ち放し、受け放しではなく、受ける刀が攻めに、攻めた刀が防御ににと、自在に対応できることが、最高位の八段には求められる。

4.そのためには、普段から一本を大切に集中した稽古のあり方、礼法に則った所作を心がけることで、自然と品位・風格は備わってくる。

◆剣道七・六段審査会(2012,11,27)寺崎先生寸評

会心の有効打突」を求めてという観点から審査で気付いたこと

只パーン、パーンと打つだけの無駄打ち、あるいは元立ちのように待っているだけ、どちらも「打突の好機を捉えた「会心の有効打突」を放つことができない。

会心の有効打突」を求めるならば、「三殺法」で攻めて崩して、「打突の好機」を捉えることが肝要です。

なお、高齢者に踏み込み足が遅れて「気剣待一致の打突」ができていないのが目につく。足先導の素振りの工夫で「気剣体一致の打突」を体得することが可能です。

◆剣道七・六段審査会(2012、11,17名古屋)尾方先生寸評

1.着装・礼法などが不自然で、高段者者にふさわしくない方が、多々見受けられた。また、立会いにおいても、姿勢・構えにこだわり過ぎ、攻めのない打突に終始し、熟達した技が見られない、連弩不足を感じた。日ごろの稽古に切り返し、基本打突を取り入れ、正しい剣道を。

2.気で攻め、理合いで打つ剣道を心がけていただきたい。気で攻め、機を見て、機を作り、兆しを打つ。気で攻め、引き出して打つ。間と間を十分に研究し、中心の取り合いの中から十分な間合いに攻め入り機を見て打突し、打ち切り、打ち抜き、残心をとることが最も大切。

「剣窓」2013,1月号より