剣道七・六段審査会寸評

◆平成25年4月京都で開催された剣道七・六段の審査会の結果は、七段18、6%、六段18、3%で昨年に比べ高い合格率であった。

◆審査員、山本重美先生の寸評は、次のとおり。

第1は、着装、礼法、所作等についてはおおむねできていたが、未だ面紐が長かったり、腕組みをしたり、竹刀を杖にしたりしている受審者が散見され、残念に感じた。高段者としての心構えとしてはいかが。

第2は、構えと間合について、常に構えているだけで、そこから何の気の充実、気迫、氣当たりも感じなかった。私は、ある先生から構えは生きていること、剣先から炎が出ていることが大切だとの教えをいただいた。研究・工夫を積んでください。また、立ち上がっていきなり近間に入る人が多く見られた。攻めるに強く守るに強いのが間合です。心の修業と併せ間合の習得をするよう心掛けること。

第3に、打突と残心について、打突に無駄打ちが多く、一本にかける心構えが乏しく、相手を無視し、自己中心的な打突が散見され、打突後の残心にも不備な点が見受けられた。充実した気勢で三殺法を駆使し身を捨てて打ち切る打突をし、技のまとめができるよう平素の修練をすべきだと感じた。特に「初太刀千本の価値がある」といわれる。今一度、有効打突の要件・要素を正しく理解して、審査に臨んでほしい。
(剣窓 平成25年6月号)

◆気迫、間合いの修得、残心、特に、初太刀を大切にしたい。