剣道八段、七段審査会寸評2023

剣道八段審査・審査員の寸評  全剣連「剣総」2024,1月号掲載

(2023,11,21実施、日本武道館

 審査では段位付与基準に相応しい内容があるか、充分な稽古をされているか、的確な技を身につけているか等、総合的に判断されます。しかし、実技審査では次のような問題点が散見されました。着装、構え、姿勢が悪く、礼法、所作が身についていない、打突については、正中線を攻めていない、上半身が力んでいる、捨てきっていない、踏み込みが弱い、気剣体が一致していない、といった打突が目立ちましたので、今後の課題としてください。

気で攻めて、理で打つ(一刀流の訓え)、肚で打つ。苦しくなって出るところ、退くところ、打ちの尽きるところを身も心も捨て切って打突をする。立ち会ったら、「さあどこからでも来い」という気持ちを持ち相手の動きに反応しないことが大切です。若い時は技を学び、壮年は気を養う、高年は風格を養うと言われています。最後になりますが、剣の理法に基づき竹刀を通じて尚一層自己を磨き、剣風を高められ、次回の審査に立たれることを期待します。

 

 

 剣道七・六段審査会・寸評      全剣連「剣総」2024,1月号掲載

(2023,11,16実施、八王子)

 審査会当日の着装・所作事については指摘することも少なく、特に問題はなかったと思います。ただ、立合い開始から終了までについて、

1.立ち上がると同時に互いに「やあやあ」と発声している人が多かった。
 ケースバイケースとは思いますが、私は相手が発生した数秒置いて発声しています。その方が格上に見える気がするからです。

2.打ち切る打突が少なかった。
 打突を決めたとしても、打ち切っておらず評価を得ることが出来ない、あるいは評価が下がることになった、こんな損なことはないと思います。

3.一本技(単発)の打突が多かった。
 打ち切ることと連動すると思いますが、気持ちは切らずに初打ち、初打ち、初打ちの繰り返しで打突を決めきる。

 以上、3点が気になりました。

 これらを改善する為の稽古法について簡単に紹介します。
〇準備運動は必ず実施
〇素振りは空気を切る音(ブシュ)を感じること。
〇技の稽古については
ア、一足一刀の間合よりも近間から左足を継がないで一拍子(調子)の打突(上げ下ろしを素早く)
イ、竹刀が触れない間合から一歩攻めて打突
ウ、出端技の修得、最初は相対動作で実施

 以上、所感を述べました。最後に稽古は嘘をつかない、ご指導いただいている先生、自分を信じて頑張ってください。皆様のご活躍を期待しています。