剣道と能の共通点

能楽研究のかたわら本格的に剣道稽古をやり直したという観世流準職分の小檜山浩二氏は、能と剣道に共通点のあることに気が付いた。その内容を「剣窓」に寄稿している。

1.まずは、構えが大切。気力を充実させて上体は脱力し、腰に力を入れて顎を引き、床板に根を張るように構える。これは剣道の「上虚下実」の教えそのもの。

2.身体の重心と動きの始点は常に腰にあり、身体の軸が捻じれたり揺れたりしてはならない。足の遣いはいつも摺り足。

3.目標に常に正対し、目で見ず身体全体で1か所に焦点をあわさず見る。剣道の「遠山の目付」と同じ。

5.常に相手を尊重し、自分勝手になってはいけない。これも同様。

6.息の使い方は、丹田呼吸にて一気に吸い長く吐く。十吸って七を出し、常に三は残す。

7.能では声を出す前こそが一番大事。謡出すまでに手順ががあり、何も考えずに声を出してはならない。剣道で技を出す前の攻めの手順と同じことではないだろうか。

そして、最後に締めくくる。打った打たれた、勝った負けたではなく、構えを崩さず、相手の打突を避けることなく、すべての人の心を打つような一本を求めて能と同様剣道に励みたい、と。

◆芸の基本は共通する点多しと、改めて思う。