琴奨菊・「万理一空」の口上

 琴奨菊・「万理一空」の口上

 大関昇進を伝える日本相撲協会の使者に、琴奨菊宮本武蔵兵法書から「万理一空」の一語を借りて決意の口上を述べた。

 一切の迷いのない状態を意味する「万理一空(ばんりいっくう)の境地を求めて、日々努力、精進致します」と述べた琴奨菊の目標は、精神力の鍛錬とみる。

武蔵いわく<万理一空の所、書あらわしがたく候へば、おのずから御工夫なさるべきものなり>。(五輪の書「兵法35か条。」)自分で考えよ、と。

「空」とは何か。宮本武蔵はいう。心が迷わず、日々刻々に修養をつみ、知恵と気力をみがき、判断力と注意力を養い、一切の迷いを拭い去った状態こそ、真の空ということができる。と。(五輪の書

空の境地を知ることは武道でも大切な要素であるが、それを求めるには、鍛錬の積み重ねを待つよりほかなし。