独行道

二刀流(二天一流)の始祖として今日にその名を残す剣豪「宮本武蔵」が、自らの人生を振り返り、自戒の念を認めた壁書文である。宮本武蔵を師と仰ぐ人々にとっては、貴重な「修身ノ書」となって残っている。

一、世々の道にそむくことなし
一、身に、たのしみを、たくまず
一、よろづに依估の心なし
一、身をあさく思い、世をふかく思う
一、われ、事において後悔せず
一、善悪に他をねたむ心なし
一、いづれの道にも、わかれを悲しまず
一、れんぼの思ひに、寄るこゝろなし
一、わが身にとり、物を忌むことなし
一、私宅においてのぞむ心なし
一、一生のあいだ、よくしんおもはず
一、こゝろつねに道を離れず
一、身をすてゝも名利はすてず
一、神仏を尊んで、神仏を恃まず

彼の自戒の壁書文
「独行道」

『独行道』(どっこうどう、正字:獨行道) は、新免武蔵(宮本武蔵)が自身の生き方を21か条に記した掛幅装の紙。「自誓書」といわれている。晩年に肥後細川藩の客分となり、熊本千葉城の自邸で死去の7日前、正保2年(1645年)5月12日に弟子の寺尾孫之允(丞)に兵法書五輪書』と共に与えたとされている