心身の統一を考える

心身の統一を考える
武道に「氣合」は大事、だれでも感じていることである。それでは「氣」を出す方法いかにと問われると、考えてしまう。
心と体が統一された状況、要するに自然体になれば氣はいくらでもほとばしり出る、という藤原光一氏の「氣」についての解説は興味深い。

心身の統一方法について、藤平光一氏の指導の概略は以下の通り。

◆心身統一の四大原則
① 臍下の一点に心をしずめ統一する。
② 全身の力を完全に抜く。
③ 身体のすべての部分の重みをその最下部におく。
④ 氣を出す。
この四つの原則は、仕事をしながらでも、寝ながらでもできる。

●第1の原則:臍下の一点に心をしずめ統一する。
日本では古くから「腹」を大事にしてきた。「腹を決める」「腹を据える」「腹に収める」「腹が太い」「腹から笑う」「腹を割って話す」・・・。腹を鍛えようと参禅に励む人もいる。「臍下丹田に力をこめて、しっかり坐れ」教えられる。が、実際にやってみて効果がない。「臍下丹田は心を静める」ところである、と気づく。無理に意識しなくても「臍下の一点はここにある」と思っていれば自然に心はしずまり、そして統一ができてくるのである。

●第2の原則:全身の力を完全に抜く
要するにリラックスすることである。リラックスとは「力を抜いた」状態をいうのであって、「力が抜けた」状態のことをさすわけではない。

●第3の原則:身体のすべての部分の重みをその最下部におく
リラックスすれば、いやでも身体の重みは下にくる。ふだんから「物体の重みは下にある」と信じ、自分は落ち着いているのだと決めてしまえば、簡単に落ち着ける。

●第4の原則:気を出す
私たちは日常よく「氣」という言葉を使っている。元気がいい、意気軒高、根気がある、気がきく,氣を抜く、気にかける・・・など。

昔から一芸に秀でた人は、氣を応用してきた。たとえば抜刀術だとか居合術の名人と呼ばれる人たちがそうだ。常人にはできない技ができたのも、瞬時に心身を統一し、氣を出すことができたからである。

生き生きとした輝かしい人生を歩もうと思ったら強気になること、つまり氣を出すことである。誰にでも簡単に氣は出せる。ただ「氣が出ている」思うだけでよい。そうすれば氣は出るのである。

◆4大原則の相関関係

この四つ原則を同時に行えということではない。たとえていうなら、四大原則は、心身統一という山を登るための四つの登頂ルートのようなものと考えればよい。この四大原則は、言葉は変わっても目的は同じ。すべて同じことを言っている。四つのうちどれか一つがしっかりと体得できればほかの三つも自動的にできるようになる。第一と第四は心の法則、第二、第三は身体の法則である。心身は本来一つである。心の法則と身体の法則が、車の両輪の如く、一致して動くのが真の統一である。