居合道の目付けについて

「一眼二足三膽四力」が武道の重要な修業項目とされるが、居合においてもその例外ではない。ところで、私の居合道において、当面の訓練すべき課題は、武道で最も重視される「目付け」であると思っている。納刀の際に、その部分に目をやる悪癖が容易に修正できないでいる。島田先生からの指摘の箇所でもある。

「目付けとのかねあいで抜刀の姿勢が定まり、攻め手、守り手が決し、体の運用が生まれ、その運用をなさしめる足の踏みようが変化する」といわれるごとく、目付けは特に注意すべき点なのである。

目付けは敵の顔面に付けるのが自然の理であるが、「遠山の目付」即ち敵の顔面を中心に相手の体全体を、遠山を見るが如くに見るのが目付けの基本といわれている。

正座の時も立膝の時も、遠山を望む気持ちで相手に着眼し、斬下した場合、その刀のあとを追うように又、倒れた場合敵を見越した点になるよう臨機自然の着眼ができるよう、普段の稽古が肝要である。

剣道と違って、居合には「仮想的」を相手に演武する難しさがあるが、反面それが敵対動作の妙味とでも言えようか。