精神の要

精神の鍛錬なくして剣道の上達なし・・・が、鍛錬の法は、説くに説かれず!

精神練磨の難しさを、高野佐三郎著「剣道」より引く・・・

何事を問わず、精神を充分に練磨するにあらざれば奥妙に至る能わず。・・・数十年間道場に出入りするとも、その精神の鍛練足らざれば到底名人の位に達するを得ず。身体四肢の動作軽妙自在にして、竹刀の操作巧妙快速を極むるとも、これ等は未だ末のみ。真に勝敗の係る所はその精神の運用にあり。斯道の奥義といひ、秘伝といふものは、実は技術の上よりも寧ろ精神の消息にあり。複雑なりとも形の上のことならば伝ふるに難からざれども、既に捉え難き精神上のことなれば之を言い伝い表はし書き現はすこと甚だ難し。<中略>
剣道にありては技術は枝葉にして精神は根底なり。技術の進歩に相伴いて精神も練磨せらるるにあらざれば真の進歩というべからず。

◆極意とは己が睫(まつげ)の如くにて近くあれども見つけざりけり

◆妙の字は少き女のみだれ髪いふにいはれずとくにとかれず