能のぶれない所作を、居合道修業にと思う

能の解説によると、
「能は仮面劇の一種であり、微妙に顔の角度を変えることにより、装着した面に生まれる陰影の違いで喜怒哀楽を表現するという、繊細な芸能です。芸術性の高い衣装などとも相まって、えもいえぬ幽玄の世界が表現されています。
足底を床と水平に保って移動する摺り足と水平方向の円運動が、能の動き(所作)の大きな特徴。これらの所作は、体躯を軸にして重心を低く安定させた「カマエ」という姿勢を基本としています。このカマエは、一見するとただ立っているようですが、実はそうではありません。動こうとする方向へ踏み込む力や体を支える力など、さまざまな力を腰で均衡させた結果、静止しているのです。力学的に絶妙なバランスが取れているため、次の瞬間どの方向に動いてもブレることなく、あたかも水面を歩いているかのような、神秘的な動きが可能です。」

体躯を軸にして重心を低く安定させた姿勢、どんな動きにも崩れない、ぶれない安定した姿勢はどのようにして作られるのか。居合道修業の身として、はなはだ興味のあるところである。